2005年01月06日

本の虫

年末年始にかけて、あまりに暇でやることがなかったので、久々に書物をグワーと読み漁ってました。ウチの家系は全員「本読み」で、父方の実家は壁に書棚が埋め込まれています。設計当時から「まず本棚」と、新居のデザインは本棚メインに為されたそうで、いやはや頭が下がります。

去年読んだ本を振り返ってみると、小説は普段と比べてかなり少なかった。ノンフィクション、実用書、コラム&エッセイ、そこらへんが非常に多くなりました。

特に今年衝撃だったのは、「名誉の殺人」という風習を描いた「生きながら火に焼かれて」。スアドという少女がたどった足跡が描かれているのですが、殺人を容認している場所、むしろたたえられる地域があるということになんともいえぬ気持ちになりました。頭ではそういった民族が存在しててもおかしくはないと思うのですが、やはり生き証人の言葉は実体験に基づいているので、頭を通り越して体と心の領域にまで、その体験が浸透してくるんですね。

無知であることは時に人間らしさを放棄することになる、と。
この本はそれを教えてくれましたね。

それから養老猛子の「死の壁」、下園 壮太の「人はどうして死にたがるのか」などはおすすめです。人間の心の複雑なシステムが把握できるので、ある程度の年齢に達した者にとっては、読んでおいたほうが良い一冊だと思います。
とくに下園 壮太の「人はどうして死にたがるのか」は秀逸。とにかく説得力があります。まあ、この本を読んでいたら周りの人は心配すると思いますけど。なんでこんな本を!?みたいな。私もかなり驚かれ(同居人に)、「いや、べつに、死にたいわけじゃないから(汗)」と何度も言い含めつつ、夢中になって読みました。誰かの前で読むときはブックカバーすることををおすすめします。

小説では伊坂幸太郎の「アヒルと鴨とコインロッカー」。
すごく面白かったです。私は一人の小説家にはまる、ということはなかなかないんですよ。村上春樹は全部読んだ!とかいう人がいますが、私は特定の作家にこだわるよりも、作品自体の面白さにこだわりたいほうなので、嫌いな作家でもおもしろければそれは読む、という感じなんです。
そんな私が始めて「この人」という作家に出会った。それがこの伊坂幸太郎さんなんですよね。
なんといってもセリフまわしが面白くて、テンポがいい。勧善懲悪みたいなスタイルは破綻しているし、どこか映画をみている気分にさえなるんです。

昔、映画のレビューを読んで「うんうん」とうなずいた記事がありまして。
「ローマの休日はまぎれもなく白黒映画なのに、あの作品を思うと、なぜかカラーで鮮やかな場面が浮かんでくる。良い映画というのはそういうものだ。自分の中に新たにもう一つの情景が浮かび上がってくるのだ」という。
私もまったく同じようなキモチなんですよ。
ローマの休日は白黒映画だけど、そういった意味では鮮やかなカラーの映画なんです。私も思い浮かべると、オードリーがカラフルに動き回るのが見える。

それと同じで、良い本というのは自分の中で文字という記号の集合を超えて、新たな自分だけの情景を作り出す。伊坂幸太郎さんの小説はそんな魅力にあふれているんですよね。現在は「グラスホッパー」を読み進めています。

とまあ、本の話と映画の話が始まると止まらなくなるのでここらへんでやめておきます。柴犬さんには同じ東京在住者として、むりやりオススメの本を貸しまくろうと考えております。しかし、人からおすすめされた小説とか本って、おすすめされたとたんに心が鈍るのはどうしてなんでしょうね。
え?あたしだけですか?

posted by ヤミナベ at 09:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 猫屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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